かつては熟練のプロにしか撮れなかった映画のような空撮映像。
技術が発達した現在では、ドローンの自動追尾機によって、誰でも手軽に撮影できる時代になりました。
被写体を自動で認識し、障害物を避けながら追いかけるこの技術は、趣味の撮影だけでなく、建設現場の点検や物流、農業といったビジネスの最前線でも革命を起こしています。
本記事では、ドローンの自動追尾機能の仕組みや、国土交通省などの公的データに基づいた最新の活用事例、さらに現在のおすすめ機種までを丁寧に解説します。
※本記事は、2025年11月時点の情報を参考に作成しています。
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ドローンの自動追尾機能とは?

ドローンの自動追尾機能とは、カメラに映る特定の人や乗り物をドローン自身が認識し、一定の距離を保ちながら自動で追従・撮影する機能のことです。
操縦者が細かくコントローラーを操作しなくても、被写体を常にフレームの中心に捉え続けることが可能です。
なぜ勝手についてくる?AIとセンサーによる画像認識のメカニズム
最新のドローンは、機体に搭載されたステレオカメラや深度センサーが周囲の環境を3Dで把握し、AIアルゴリズムが「これは追うべき人物だ」「これは障害物の木だ」と瞬時に識別します。
上位機種では、自動車の自動運転にも使われるLiDAR(ライダー)と呼ばれるレーザーセンサーを搭載し、夜間や逆光といったカメラが苦手な環境でも正確に被写体を追尾できる機種も登場しています。
まさに空飛ぶAIロボットですね
主な追尾モードの違い:「フォローミー」と「アクティブトラック」
自動追尾には、大きく分けて2つの技術方式があります。
- フォローミーモード(GPS方式)
-操縦者が持つ送信機(プロポ)やスマートフォンのGPS位置情報を頼りに追従します。
-広範囲の移動には強いですが、被写体の向きや細かな動きに追従するのは苦手です。 - アクティブトラックモード(画像認識方式)
-DJI製ドローンなどで主流の方式です。
-カメラの映像解析(ビジョンポジショニング)で被写体を認識するため、GPSが届かない場所でも使用でき、被写体の周囲を旋回するなど複雑な動きが可能です。
GPSとビジョンポジショニングの役割分担
屋外ではGPSで大まかな位置を把握し、近距離ではビジョンポジショニング(カメラセンサー)で地面の模様や障害物との距離を測ることで、誤差数センチ単位の安定した飛行を実現しています。
トンネル内や橋の下など、GPSが入らない環境(非GNSS環境)でも安定して自動飛行・追尾ができるようになっています。
自動追尾ドローンはこう使われている!分野別活用シーン
自動追尾機能は、単なる撮影機能を超え、社会課題を解決する重要なツールとして定着しつつあります。
【趣味・スポーツ】バイクやスノーボードなどのダイナミックな自撮り
身近な利用例は、スポーツやアクティビティの記録です。
バイクのツーリング、スノーボードの滑走、サーフィンなどの水上スポーツにおいて、自分自身を被写体に設定した場合に、第三者が撮影したような迫力ある映像を一人で撮影できます。
【インフラ点検】橋梁やトンネル内での自律飛行と効率化
建設業界では人手不足や危険作業の回避のために導入が進んでいます。
- トンネル内点検:GPSが届かない暗所でも、LiDARや高感度カメラで壁面との距離を保ちながら自律飛行し、ひび割れなどの異常を網羅的に記録します。
- 橋梁・ポンプ場:人が近づきにくい場所でも、あらかじめ設定したルート(ウェイポイント)を正確に飛行し、映像をリアルタイムで事務所に伝送するため遠隔地からの巡視を可能にしています。
【物流・配送】過疎地や災害時における物資輸送の自動化
物流の2024年問題解決の切り札として、ドローン配送の実用化が急ピッチで進んでいます。
例えば、北海道上士幌町などでは、配送拠点から個人の住宅まで食品や新聞を自動でお届けする実証が行われています。
また、災害時には道路が寸断された孤立集落へ医薬品を空輸する手段としても活躍しており、着陸地点のQRコードを認識してピンポイントで着陸する技術も確立されています。
【農業・水産】害虫検知や養殖生簀(いけす)の管理
第一次産業でもスマート農業・水産業として活用されています。
- 農薬散布: 畑の上空を自動で飛行し、害虫や雑草(エゾノギシギシなど)の位置をAIで特定。必要な場所にだけピンポイントで農薬を散布します。
- 養殖管理: 海上では、生簀(いけす)の上を自動飛行または航行し、魚の数をAIでカウント。通信環境が悪い海上でもデータを送れるよう、映像ではなく魚の数のテキストデータのみを送信する技術(エッジAI)が検証されています。
知っておきたいドローンの自動追尾機能法的ルールと安全な運用方法

便利な自動追尾機能ですが、日本の法律を守って運用する必要があります。
特に、飛行手段や場所によって必要な資格や申請が大きく異なるため、知らずに飛ばすと違法行為になってしまうリスクがあります。
自動追尾を利用する際に必ず押さえておくべき主要なルールと安全基準を以下の表にまとめました。
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 飛行レベル | レベル2(目視内・自律飛行) 操縦者がドローンを目視できる範囲内で、自動追尾機能を使って飛ばす一般的な利用形態です。 | ドローンが建物の裏側に回るなどして見えなくなると「レベル3(目視外飛行)」となり、より厳しい許可・承認が必要になります。 |
| 公道・車両 | 運転中の追尾禁止 バイクや車を運転しながらドローンに追尾させる行為は、航空法上の「目視外飛行」や道路交通法違反に該当する可能性が高く、原則禁止です。 | 第三者の人や物件から30m以上の距離を保つ「30mルール」にも抵触しやすいため、公道での並走撮影は避けましょう。 |
| レベル3.5飛行 | 補助者なし目視外飛行 機上のカメラで歩行者などがいないことを確認できれば、補助者や看板の設置なしで目視外飛行が可能になる制度です。 | 物流などで活用が進んでいますが、実施には操縦ライセンスの保有と保険への加入、そして事前の飛行承認が必要です。 |
| 気象条件 | 風速5m/s以上は中止検討 自動追尾中でも強風には勝てません。行政の災害対応では耐風15m/sなどが求められますが、一般機は無理を避けるべきです。 | 上空の風は地上より強いため、バッテリー消費が激しくなり、RTH(自動帰還)が間に合わず墜落するリスクがあります。 |
| 障害物検知 | センサーの死角 全方向センサー搭載機であっても、電線のような細い物体や、ガラスなどの透明な物体は検知できない場合があります。 | 自動追尾中は、ドローンが横移動や後退をする場合もあるため、進行方向以外にも常に注意を払う必要があります。 |
自動追尾を行う際は、基本的に「自分の目で見える範囲(レベル2)」で運用するのが大原則です。
特に、自分が移動しながら(運転中など)のドローン操作は非常に危険であり、法的に厳しく制限されているため絶対に行わないようにしましょう。
安全なフライトのために、事前のロケハン(下見)と風速チェックを習慣づけることが重要です
事故を防ぐために:風速や障害物検知機能の限界を知る
自動追尾は万能ではないため、以下の点に注意が必要です。
- 周囲30m以内に第三者や物件がないか?
- 風速は5m/s以下か?(強風時は中止)
- 障害物センサーはオンになっているか?
- 飛行経路に電線や細い枝はないか?
特に風には注意が必要で、一般的に風速5m/s〜10m/s程度で機体の制御が困難になるとの検証結果があります。
また、障害物センサーは電線のような細い物体を検知できないことがあるため、過信は禁物です
行政も注目するドローンの性能要件と最新技術
国土交通省などは、災害時やインフラ点検で確実に使えるドローンの性能基準(行政ニーズ)を明確化し、メーカーに開発を促しています。
災害現場や過酷な環境でも使えるよう、下図のような高いスペックが求められています。

通信負荷を減らす「エッジAI」技術の登場
高画質の映像を送り続けると通信回線がパンクしてしまうため、ドローン本体(エッジ)側で映像をAI解析し、必要な情報だけを送るエッジAI技術が注目されています。
例えばスタジアムの警備では、混雑状況やリスク(転倒者など)をAIが判断し、緊急時のみ高画質映像を送ることで通信量を削減する実証が行われています。

【2025年最新】自動追尾機能搭載のおすすめドローン5選
最新のドローン市場には、初心者でも手軽に扱えるトイドローンから、測量や点検業務にも耐えうる産業用モデルまで、さまざまな自動追尾対応機が登場しています。
ここでは、2025年現在、特におすすめしたい5つのモデルを用途別にご紹介します。
| 機種名 | 参考価格 | 特徴・おすすめユーザー |
|---|---|---|
![]() DJI Neo | 28,050円~ | 【超軽量・Vlog向け】 重量約135gと非常に軽く、手のひらから離着陸が可能。コントローラーなしでもAIが被写体を認識して追尾するため、自撮りやSNS動画に最適です。 |
![]() DJI Mini 4 Pro | 90,750円~ | 【軽量・高性能】 249g未満の軽量ボディながら、全方向障害物検知と「ActiveTrack 360°」を搭載。初心者でも安心して複雑な追尾撮影を楽しめる決定版です。 |
![]() DJI Air 3S | 150,480円~ | 【旅行・夜景撮影】 1インチCMOSセンサーとLiDARを搭載し、夜間や低照度環境でも驚くほど高精度な追尾と障害物回避を実現。旅先での風景撮影に特化したモデルです。 |
![]() DJI Mavic 3 | 249,480円~ | 【プロ空撮・映像制作】 Hasselbladカメラを搭載したフラッグシップ機。全方向障害物検知と最大46分の長時間飛行により、複雑な環境下でも妥協のない映像制作が可能です。 |
![]() Skydio 2+ | 要問合せ | 【産業・インフラ点検】 GPSが届かない橋の下や屋内でも、周囲の環境を3D認識して障害物を回避しながら自律飛行します。橋梁やトンネル点検の現場で高く評価されています。 |
※価格は、時期によって変動する可能性があります。
まずはDJI Neoのような安価で安全性の高いモデルから操作に慣れ、必要に応じて上位機種へのステップアップをおすすめします
ドローンの自動追尾に関してよくある質問(Q&A)

Q1. ドローンの自動追尾機能は夜間でも使えますか?
A. 機種と法規制によります。
技術的には、DJI Air 3SのようにLiDARなどのセンサーを持つ機種なら可能ですが、法的には夜間飛行にあたり、事前の承認が必要です。
なお、行政のニーズとしては、夜間の降雪時に遭難車両を見つけるための耐低温・暗視性能などが求められています。
Q2. ドローンの自動追尾中にバッテリーが切れたらどうなりますか?
A. 多くの場合、自動で離陸地点に戻ります(RTH機能)。
バッテリー残量が低下すると、自動的にホームポイントへ帰還する「RTH(リターン・トゥ・ホーム)」機能が作動します。
ただし、荷物を運搬している場合や気温が低い環境ではバッテリー消費が早まるため、余裕を持った運用が不可欠です。
Q3. 海の上でもドローンの自動追尾はできますか?
A. 可能ですが、高度なセンサーが必要です。
海上は地面と違って特徴点が少ないため、カメラセンサーが誤作動するリスクがあります。
しかし、最近ではAIを活用して海上での位置特定や通信を安定させる技術(光無線通信など)の実証も進んでおり、養殖場の監視などで実用化されています。
自動追尾ドローンが広げる未来の可能性
ドローンの自動追尾機能は、空撮を楽しむためのツールから、社会生活を支える不可欠なインフラ技術へと大きな進化を遂げました。
AIによる高度な認識技術と法整備の進展により、人の手では難しかった危険な場所での点検や、過疎地への物流配送が現実のものとなっています。
ドローンにおける自動追尾機能の進化は、趣味の世界を広げるだけでなく、今後の日本が抱える人手不足などの社会課題を解決する重要な鍵となるでしょう。
- AIとセンサーの融合:カメラやLiDARを駆使し、GPSが届かない環境でも障害物を回避しながら被写体を追い続けることが可能になった。
- 活躍の場は無限大 趣味の自撮りから、トンネル点検、災害時の物資輸送、スマート農業まで、多岐にわたる分野で導入が進んでいる。
- 法規制の理解が必須:目視内での追尾は「レベル2」、目視外や有人地帯では「レベル3.5・4」となり、それぞれ必要な許可や資格が異なる。
- 通信技術の進化:「エッジAI」によりドローン本体でデータ処理するため、通信負荷を抑えながらリアルタイムな解析が可能。
- 社会課題の解決:人手不足や危険作業の代替として、行政も高い性能基準を設けて導入を後押ししており、今後さらに重要性が増す傾向にある。
▼参考URL
- 国土交通省「行政ニーズに対応したドローンの性能について」
- 総務省「地域社会DX推進パッケージ事業(AI検証タイプ) 実証事業概要」
- 国土交通省「第10回建設施工における現場作業者支援のDXに関するWG 資料-4」
- DJI
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