【2025年11月】ドローンのリモートIDを徹底解説!義務化対象から内蔵・外付け対応方法まで

ドローン リモートIDのサムネ

昨今の日本では、ドローンを使った空撮や産業利用が増えている一方で、空の安全を守るためのルールも新しくなっています。

特に重要なのがリモートIDであり、ドローンを安全に飛行させるための基本的なルールです。

今回は、これからドローンを始める方やすでに持っている方にも役立つ、リモートIDの概要や書き込み手順などを丁寧に解説いたします。

※本記事は、2025年11月時点の情報を参考に作成しています。


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リモートIDとは?空のナンバープレートの正体

リモートIDの概要の画像
首相官邸

リモートID機能とは、無人航空機(ドローン)の固有の識別情報を電波で遠隔発信するための仕組みのことです。

自動車にナンバープレートが付いているように、ドローンにも識別情報を持たせることで、離れた場所でも機体認識できるようにする、いわば「空のナンバープレート」と言えます。

リモートIDから発信される識別情報は、大きく分けて「静的情報」と「動的情報」の2種類があります。

 

情報の種類静的情報(変わらない情報)動的情報(飛行中に変わる情報)
無人航空機の登録記号
製造番号
ドローンの位置(緯度・経度)
速度
高度
時刻

発信情報に操縦者や所有者の個人情報(氏名など)は一切含まれないため、個人情報保護の面でも安心して使える仕組みといえます

 

とっくり

ドローンがどこをどう飛んでいるかを周囲に知らせるために、1秒間に1回以上発信されています

なぜリモートIDは義務化されたのか?(国土交通省が求める安全対策)

なぜリモートIDは義務化されたのか?の画像
国土交通省

近年、無人航空機(ドローン・ラジコンなど)の活用が急速に増えましたが、同時に事故や、無許可で飛行させる事案も頻繁に発生しました。

このような状況を踏まえ、安全を確保し、飛行中であっても登録されている機体かされていない機体かを判別可能にするために、リモートIDの搭載が義務化されました。

リモートID機能は、機体への物理的な登録記号の表示とセットで、空の安全を確保するために設けられた重要な制度の一つです。

 

とっくり

2022年6月20日以降、無人航空機の登録制度が施行されたため、登録されていないドローンは飛行させることができなくなり、同時にリモートID機能の搭載も必須となりました

リモートID義務化の対象と免除される3つのケース

リモートID機能の実装義務は、原則として機体重量100g以上のすべての無人航空機が対象になります。

リモートIDの実装は推奨や努力義務ではなく、航空法に明確に定められた法律上の義務です。

 

義務の不履行による罰則
  • 対象機体にリモートIDを搭載せずに飛行させた場合、50万円以下の罰金または1年以下の懲役が課せられる場合があります。

 

リモートIDの搭載は任意ではなく義務とされているため、国内で出回っているほとんどのドローンが対象になると考えていいでしょう。

 

とっくり

ドローンを飛ばす方全員が守るべき基本的な法律の一つです

搭載が免除される3つの例外パターン

原則として100g以上のドローンはすべてリモートIDが必要ですが、例外的に搭載が免除されるケースも存在します。

 

免除されるケース
  • 事前登録期間中に登録手続き済みの機体:制度施行前の事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)に登録された機体は、リモートIDの搭載が免除されます。
  • 係留飛行を行う場合:十分な強度を持つ紐(長さ30m以内)などで機体を係留し、限定された範囲で飛行させる場合。
  • リモートID特定区域で飛行させる場合:あらかじめ国土交通省に届け出てある「リモートID特定区域」の上空で、補助者の配置や標識の設置などの安全措置を講じて飛行させる場合。

 

リモートID特定区域の届出は、飛行専用の場所を恒久的に確保できるドローンスクールやラジコンクラブなどの団体によるものが大半であるため、個人で都度届け出ることは困難なことがほとんどです。

 

とっくり

免除を期待するよりは、基本的にリモートIDを搭載する前提での機体の準備が重要になります

ドローンのリモートID機能における内蔵型と外付け型の選び方

リモートID機能を機体に実装する方法は、大きく分けて「内蔵型」と「外付け型」の2パターンがあります。

また、すでにドローンを持っている場合、非対応機だったときは「外付け機器を買って後付けするか」「対応機種に買い替えるか」の判断が必要になります。

一般的に、以下の判断が推奨されています。

 

機体の種類経済的な対応理由
高額な産業用大型機
(数十万円以上)
外付け型機器を購入して後付け本体価格が高いため、数万円の機器を後付けする方が経済的です。

10g前後の機器の重量は飛行にほとんど影響しません。
手頃な価格の小型機
(数万円台)
リモートID対応機種に買い替え外付け機器の購入費用(約1.5万円~5万円前後)を考えると、対応機種に買い替えた方が費用的にそこまで変わらないことが多く合理的です。

また、小型機は重量増で飛行性能に影響が出る可能性を避けられます。

ドローンを新しく購入する場合は、スペックに不満がない限り、最初からリモートID機能が内蔵されている対応機種を選ぶのが賢明です。

 

とっくり

非対応機を購入すると、機体登録料のほかに外付け機器の購入費用や後付けする手間がかかってしまい、かえって高くつくことになります

リモートID内蔵型ドローンはこれ!メーカー別対応機種一覧

リモートID制度がスタートする前に発売された機種でも、メーカーがファームウェアを更新していた場合、内蔵型リモートIDに対応しているものがあります。

 

製造者(代表的なメーカー)型式(機種名)リモートID機能のタイプ
DJIDJI Mini 4 Pro , DJI Avata 2 ,
Matrice 350 RTK
機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱
DJI Mavic 3 , DJI Mini 2 ,
DJI Air 2S
Autel RoboticsAutel Alpha , EVO MAX ,
EVO Lite
機体へ内蔵、専用アプリケーション同梱
TEAD株式会社TD-RID-S , TD-RID 外付け型
エアロエントリーAERO-D-X1 外付け型
株式会社 BraveridgeBVRPA , BVRPN 外付け型、専用アプリケーション同梱
株式会社 ACSLSOTEN 機体へ内蔵
※国土交通省:適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧より抜粋
※最新情報やその他の機種については、国土交通省の公表資料をご確認ください 。

内蔵型ドローンを使う場合は、リモートID機能を有効にするために、ドローン本体と送信機のファームウェアを常に最新の状態に更新しておく必要があります。

 

とっくり

更新をしなかった場合、リモートID機器が内蔵されていても機能が有効にならない点に注意しましょう

外付け型リモートID機器の選び方と主な製品(価格も比較)

リモートID機能に対応していないドローンを持っている場合は、外付け型のリモートID機器を別途購入して機体に取り付けます。

機器を選ぶ際の主な基準と、チェックすべきポイントは以下の通りです。

 

基準詳細
重量ドローンの飛行性能に影響を与えないよう、できるだけ軽量な製品を選ぶのが無難です。
価格相場は15,000円〜50,000円前後です。予算だけでなく、以下の機能差とのバランスを見て検討しましょう。
GPS感度・速度電源を入れてからGPS衛星を捕捉するまでの待ち時間に差が出ます。
耐久性急な雨や着陸時の砂埃に耐えられる防水・防塵(IP規格)対応だと安心です。
バッテリー・給電充電端子(USB Type-Cなど)や、連続稼働時間がフライト時間をカバーできるか確認しましょう。
通信距離自身で飛行状況の管理を目的とする場合は、通信距離の長い機器を選ぶと良いでしょう。

なぜ価格に幅があるのか?(15,000円〜50,000円の違い)

「ID情報を発信するだけ」という基本機能は同じですが、1万円台の安価なモデルと4〜5万円の高機能モデルでは、現場での使い勝手と安心感に大きな違いがあります。

主な価格差の理由は以下の3点です。

 

外付け型リモートID機器の価格差による性能の違い
  • 1. GPS受信性能と起動スピード
    -安価なモデルはアンテナ性能が控えめで、GPS捕捉まで数分待たされることがあります。
    -高価格帯は高性能GNSS搭載のため待ち時間が短く、すぐに飛行可能です。
    -上空や障害物の多い場所でも、位置情報を見失いにくい設計になっています。
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  • 2. 小型・軽量化技術
    -100g未満の機体にも搭載できるよう、数グラム単位の軽量化が施されています。
    -軽さとバッテリー持ちを両立させるには高度な技術が必要なため、コストがかかります。
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  • 3. 防水・防塵などの耐久性
    -高価な製品は、産業用レベル(IP54など)の耐久性を持っています。
    -屋外での急な雨や、離着陸時に舞う砂埃でも故障しにくく作られています。

初心者が見るべきその他の重要チェック項目

実際に運用する上でストレスにならないよう、以下の点も確認することをおすすめします。

  • 充電ポートの種類現在主流の「USB Type-C」に対応しているか。
    -micro-USB等の古い規格だと、専用のケーブルを持ち歩く必要があります。
  •  

  • 取り付け方法両面テープで固定するタイプか、マジックテープ(ベルクロ)で取り外し可能なタイプか。
    -複数の機体で使い回す場合は、取り外しが容易なタイプが便利です。
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  • アプリの操作性(ID書込のしやすさ)機器にIDを書き込むスマホアプリが日本語に完全対応しているか、Bluetooth接続がスムーズかどうかも重要です。

 

なお、TEAD社製のTD-RIDは、12gと軽量で、内蔵バッテリーで動作するため、非常に扱いやすい機器とされています。

 

外付け型リモートID機器の選び方と主な製品(価格も比較)の画像
UAVOOM

外付け機器は、技術規格書に準拠して開発・製造されたものである必要があります。

 

とっくり

購入する際は、国土交通省が公表している「適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧」に掲載されている製品かを確認すると安心です

リモートID情報を機体に書き込む具体的な手順

リモートID機器は、ただ搭載するだけでは機能しません。

機体登録システムに登録された情報(登録記号など)を機器に書き込む作業が必須になります。

事前準備:機体登録と専用アプリ「DIPS APP」のインストール

リモートID情報を書き込むには、以下の2つの準備が必要です。

  • 1, 機体登録の完了:ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)で機体を登録し、登録記号を取得しておく必要があります。
  • 2, 専用アプリのインストール:国土交通省が提供する「DIPS APP - ドローンポータルアプリ」を、お手持ちのスマートフォンにインストールします。

 

 事前準備:機体登録と専用アプリ「DIPS APP」のインストールの画像
DIPS ダウンロード画面

リモートID機器への情報の書き込みは、基本的にDIPS APPを通じて行われます。

 

とっくり

スマートフォンを持っていない場合、スマートフォンを持っている知人などに作業を依頼しましょう

内蔵型ドローンの情報連携(DJIなどのアプリを使う場合)

内蔵型リモートID機器を持つドローン(DJI、AUTELなど)は、メーカーの操縦用アプリ(DJI Flyなど)を通じて、ドローン登録システムの情報と機体の情報を連携させる形で書き込みを行います。

操作前には、操縦用アプリと機体・プロポのファームウェアを最新版にアップデートしてください。

今回は、DJI Flyを使用して解説します。

Step.1 設定メニューから連携画面へ移動

内蔵型ドローンの情報連携(DJIなどのアプリを使う場合)の画像1
DJI

機体と送信機を接続し、DJI Flyを開きます。

カメラビュー右上の「一般設定メニュー」(……)→「安全」→「無人航空機システムリモートID」をタップし、「インポート」を選択します。

Step.2 DIPS2.0へログイン

内蔵型ドローンの情報連携(DJIなどのアプリを使う場合)の画像2
DJI

「インポート」をタップして遷移した、国土交通省航空局にログインする画面で、ドローン登録システムのログインIDとパスワードを入力します。

Step.3 情報連携を完了

内蔵型ドローンの情報連携(DJIなどのアプリを使う場合)の画像3
DJI

ログイン後、「同意して連携」をタップすると、ドローン登録システムの情報と機体情報が連携され、書き込みが完了します。

 

とっくり

内蔵型の場合、情報連携をしない限り、リモートIDの機能は有効になりません

外付け型機器への書き込み(DIPS APPを使う場合)

外付け型リモートID機器(およびACSL SOTENなど一部内蔵型)の場合は、主にDIPS APPを使って書き込みを行います。

操作前に、書き込み対象の機器(外付けリモートID)がスマートフォンと接続可能な状態にあることを確認してください。

Step.1 機体詳細の選択と書き込み機能の起動

 外付け型機器への書き込み(DIPS APPを使う場合)の画像1
国土交通省

DIPS APPにログイン後、機体一覧画面から書き込みを行う機体を選び「所有機体詳細」へ進みます。

詳細画面で「リモートID書込」ボタンをタップします

Step.2 機器の選択と情報の書込実行

 外付け型機器への書き込み(DIPS APPを使う場合)の画像2
国土交通省

表示された「接続可能機体一覧」から、情報を書き込むリモートID機器を選択し、機体情報が正しいことを確認して「OK」をタップし、書き込みを開始します。

書き込みが始まると「機体に接続中(リモートIDを書き込み中です)」のメッセージが進捗状況と共にが表示されます。

 

とっくり

完了するまで操作を中断しないでください

Step.3 完了の確認と「済み」表示

 外付け型機器への書き込み(DIPS APPを使う場合)の画像3
国土交通省

リモートIDの書き込みが完了しました」のメッセージが表示されたら「OK」をタップします。

機体一覧画面に戻り、書込状況が「済み」になっていることを確認すれば、手続きは完了です。

 

とっくり

「済み」が表示されれば、機体がリモートID情報を正常に発信できる状態になり、法律上の飛行義務を果たしたことを示しています

知っておきたい!リモートIDに関するQ&A

知っておきたい!リモートIDに関するQ&Aの画像

Q1. 外付けリモートID機器は使い回せるのですか?

A. 外付けリモートID機器は、同一の所有者が機体を使い続ける場合、複数の機体に使い回しても問題はありません。

ただし、機体を変更するたびに、リモートID機器に機体ごとの登録情報を設定し直す必要があります。

 

とっくり

使い回す際は、ドローン登録システムに登録済みのリモートID機器情報の変更手続きが必要です

Q2. 海外サイトで買ったドローンはリモートIDが内蔵されていても使えるのですか?

A. 海外サイトや海外で購入したドローンについては、たとえリモートID機能が内蔵されていても、日本の国土交通省の指定する規格を満たしているとは限らないため、別途対応が必要です。

非対応機種扱いとなった場合は、別途、日本で規格を満たした外付け型リモートID機器を購入して後付けしなければならないことがあるため、購入時には注意しましょう。

Q3. ドローンを友達に譲る・もらう場合、誰が手続きをするのですか?

A. 外付け型リモートID機器や、内蔵されたドローン本体を誰かに譲渡する場合、登録済みのリモートID情報を変更・削除できるのは、機体を登録した元の所有者のみです

譲り受ける際は、元所有者に登録情報の変更または削除を依頼するようにしましょう。

 

とっくり

譲渡を受けた新しい所有者は、自分で登録情報の変更ができません

リモートID対応で安全なドローン飛行へ

ドローンを飛行させる上で、操縦技術はもちろん大切ですが、リモートID制度への対応は法律を守るための大前提であり、空の安全を確保するための重要なルールです。

リモートID機能の義務化への対応は、単に法律を守るだけでなく、安全意識の高い責任あるパイロットであることの証明にもつながります。

これからドローンを始める方も、すでに持っている方も、リモートIDの基本を理解し自身の機体がしっかりと対応できているかが、安全なドローン飛行への第一歩となるでしょう。

ドローンのリモートIDに関するまとめ
  • リモートIDとは、ドローンの識別情報(登録記号や位置情報など)を電波で遠隔発信する仕組みです。
  • 機体重量100g以上のすべての無人航空機は、リモートID機能の搭載が法律で義務化されています。
  • リモートIDを実装するには、内蔵型対応機種を選ぶか、または外付け型機器を後付けするかの2つのパターンがあります。
  • 搭載するだけでなく、事前にDIPS2.0で機体登録した後、DIPS APPやメーカーアプリを使って識別情報を機器に書き込む作業が必須です。
  • 事前登録済みの機体、係留飛行、リモートID特定区域での飛行など、一部の例外的なケースでは搭載が免除されます。

▼参考URL


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