イタリアで進むドローンの社会実装|現状・制度整備・日本との関係性など

イタリアのドローン活用の現状のサムネ
おしんちゃん

イタリアではドローンが普及しているのかな?

とっくり

あらゆる分野に導入されて、成果も挙げているよ

イタリアのドローン活用の現状
  • イタリアでは、観光・文化財保護における空撮やモニタリングが定着しています。
  • また、農業や物流、災害対応など地方課題への実装が進行中です。
  • 加えて制度整備と民間スタートアップの成長が連動し、用途が多様化しています。

※本記事は、2025年7月時点の情報を参考に作成しています。

イタリアの概要

イタリアの国旗の画像

 

正式名称イタリア共和国(Repubblica Italiana)
首都ローマ(Rome)
人口約5,900万人(2024年推定)
面積約30万平方キロメートル
GDP約2.2兆ドル(2023年、IMF推計)
公用語イタリア語
ドローン関連法の整備年2015年頃より本格化、EASA共通ルールは2021年より適用開始
管轄機関ENAC(イタリア民間航空局)、EASA(欧州航空安全機関)

イタリアは、ヨーロッパでも屈指の観光大国であり、歴史・文化・自然に富んだ地理的特性から、ドローンによる空撮や管理技術との親和性が高い国です。

EU加盟国としてEASAの共通ルールに準拠する一方で、自国の航空当局ENACが独自に細かい運用ガイドラインを策定しており、制度的な成熟も進んでいます。

 

とっくり

農業や文化財保護など、他国とは異なる活用分野も注目されています

イタリアを拠点とするドローン関連企業

 

会社名特徴・概要主な専門分野展開状況

ABZero
輸血・医療物資をドローンで
緊急輸送するスタートアップ
医療輸送ドローン国内外の医療機関・自治体と連携中

Sky Eye Systems
軍用/民間向けの高性能ドローンの
開発を行う航空機系企業
軍事・監視・精密観測欧州各国に技術供与、政府案件も多数
FlyingBasket最大100kgの貨物を運べる
重量級ドローンを開発
物流・インフラ点検・山岳輸送ドロミテ山系などでの実証実験が進行中

Eurolink Systems
センサー統合型UAVを開発し、
空中監視やインフラ調査に特化
災害対応・監視・構造物点検ローカル自治体と連携した
公共事業を展開

Dronus
スマートシティ向けの
“ドローンポート”を開発し、
都市環境と統合可能な設計を追求
都市管理・IoT連携ドローンシステム空港・都市開発エリアでの
運用テストを実施中

イタリアでは、空撮や農業用途だけでなく、医療・都市管理・軍事・物流など多岐にわたる分野でドローン企業が台頭しています。

特に医療物資を輸送するABZeroや、山岳地域での重量物輸送を実現するFlyingBasketは、ドローン技術の社会実装の成功例といえるでしょう。

また、ドローンポートを開発するDronusのように、都市インフラとの統合を見据えたビジョン型スタートアップも存在し、イタリアならではの課題に向けた革新が進んでいます。

イタリアにおける分野別のドローン活用事例と特徴

イタリアにおける分野別のドローン活用事例と特徴の画像

観光プロモーションと映像制作

イタリアは世界有数の観光立国であるため、各地の空撮映像が国のブランディングや地方プロモーションに活用されており、ローマやフィレンツェ、ヴェネツィアといった観光都市ではドローンを使ったPVが観光局主導で制作される例も増えています。

また、映画『007 スペクター』や『ミッション:インポッシブル』など、国際的大作の撮影にもドローンが使われ、ロケーションの魅力を世界に伝える手段として不可欠な存在となっています。

農業におけるスマート活用

ワイン産地として有名なトスカーナやピエモンテ地方では、ブドウ畑における病害の早期発見、灌漑管理、収穫タイミングの最適化などにAI連携型のドローンが用いられています。

EUの「農業デジタル化支援」政策に伴い、中小農家も補助金を活用しやすくなったことから、ドローンによる空中センシングがより一般化しつつあります。

文化遺産・歴史建築物の保護

イタリア国内の世界遺産や文化財では、劣化状況のモニタリングや構造点検にドローンが活躍しています。

特にポンペイ遺跡では衛星測位が不安定なエリアでも飛行できる特殊機体が導入され、ローマのコロッセオでは外壁や構造内部の崩落リスクを検知するために定期的なドローン巡回が実施されています。

インフラ点検と災害対応

イタリアでは橋やトンネルの老朽化が社会課題となっており、ドローンによる高精度の点検が導入されています。

特に2018年に発生したジェノヴァのモランディ橋崩落事故以降、ドローンを活用した早期検査体制の整備が急務となりました。

 

とっくり

地震多発地帯のアペニン山脈地域では、震災後の被害状況把握や孤立集落への物資配送にもドローンが投入されています

警察・消防・軍事などの公共分野

国家警察やカラビニエリ(憲兵隊)では、監視や治安維持の目的でドローンを導入しており、群衆管理や逃走者追跡にも利用されています。

消防隊では、火災時の現場把握や有毒ガスの検知に空撮ドローンが活躍しており、特に都市部での出動効率の向上に貢献しています。

 

とっくり

防衛省関連の研究機関では軍用ドローンの開発・評価も進んでおり、Sky Eye Systems社のような国内企業が担っています

イタリアのドローン導入の変遷

イタリアでは、2013年頃から、ドローン導入に向けて動いてきました。

イタリアのドローン導入の変遷の画像

社会の受容性と市民・自治体の反応

ドローンが登場した当初、イタリア国内では「騒音」や「プライバシー侵害」に対する懸念が先行していましたが、以下のような具体的なメリットが市民・行政側に認識され始めたことで、受容度は徐々に高まっています。

  • 火災・洪水時の迅速な現場把握
  • 文化財の劣化チェックや空撮観光PR
  • 農村部でのインフラ点検や配送の効率化

特に中小都市では「コスト削減のための現実的な手段」として歓迎される傾向があります。

ENACの初期対応と制度整備の始まり

イタリア民間航空局(ENAC)は2013年ごろから無人航空機に対するルール作りを始め、2015年に初の包括的な規制ガイドラインを発表しました。

  • ドローン操縦者の登録・技能証明
  • 重量・用途別に分かれた機体分類
  • 市街地・夜間・目視外飛行の制限
  • 飛行前の通報義務や責任保険の推奨

この時点ではまだ紙ベースでの運用面でにより煩雑さも残っていましたが、安全と秩序を重視した制度設計がなされていました。

EASAルールの導入と現在の運用

2021年1月より、イタリアもEU全体の共通ルール「EASA規則(UAS Regulation)」の完全適用を開始しました。

  • 操縦者はオンライン講習+試験を受け、EU全域で有効な資格を取得可能
  • 機体の登録や飛行申請もENACポータルで一元管理
  • カテゴリー(Open/Specific/Certified)による飛行リスク評価
  • 安全距離、第三者上空飛行、夜間飛行などの要件が明確化

EASAの規則を導入したことから、外国人操縦者がイタリアで飛ばす際のルールもEASAに準拠することで理解しやすくなり、国際的な利便性が増しています。

教育・研究分野における取り組みと若年層の関与

ドローンの画像

イタリアでは、ドローン技術の発展に伴い、学校教育や高等教育機関での導入・研究が広がりつつあります。

  • 高校・専門学校でのドローン操作カリキュラムの導入(職業訓練科など)
  • 技術系高校では、EASAのOpenカテゴリー向けに準拠した実技訓練も実施
  • STEM教育(科学・技術・工学・数学)との連携で、創造的プロジェクトが推進中

また、ENACが監修する「安全飛行に関する啓発教材」は学校教育用として配布されており、リスク管理や法律知識の普及にも役立っています。

大学・研究機関での動向

主要大学では、ドローン関連の研究が以下のように展開されています。

大学名主な研究分野特徴的な取り組み内容
ボローニャ大学農業用ドローン、遠隔センシング土壌状態や作物健康の空中分析実験など
ミラノ工科大学都市管理、物流、AI連携技術ドローン×スマートシティの研究が進行中
ローマ・サピエンツァ大学災害対応、通信・監視分野災害時ネットワーク支援ドローンを開発
パドヴァ大学航空力学、機体設計革新的な軽量フレームや制御システムの開発

これらの大学は、EUプロジェクトの助成金を活用して、国際共同研究や現地自治体との連携実証も行っています。

若年層へのアプローチと将来人材の育成

近年は、ドローンレースやエアロバティック競技会の開催を通じて、若年層がドローン技術に触れる機会が増えています。

  • 少年向けドローンキャンプやクラブ活動の支援
  • 公共図書館・科学館でのワークショップ開催
  • 女性エンジニア育成を目指した教育NPOとのコラボも進行

 

とっくり

次世代を担う人材の育成を国家レベルで支援する動きが、着実に広がっています

イタリアのドローン分野における他国との連携

イタリアはドローンの研究開発および運用面において、EU内外の国々と積極的に連携しています。

技術交流や制度整備、災害対策や農業支援など、分野ごとの課題に応じた国際協力が進められており、多国間での知見共有や共同実験がイノベーションの加速につながっています。

連携国主なプロジェクト内容
ドイツ空域管理システム(U-space)開発における共同実証、都市内物流の自動化に関する研究
フランスセンサー搭載型ドローンの開発協力、Parrot社との部品供給・性能評価の技術提携
スペイン農業用ドローンの遠隔センシング実験、灌漑データの共有プロジェクト
オランダ災害救助ドローンとAI搭載の緊急対応機体のテスト運用、屋内飛行制御技術の共同研究
アメリカSkydioとの自律飛行技術開発、軍事用・公共安全用途での共同評価プロジェクト

また、Horizon Europeなどの助成制度を活用した共同研究や、災害対応・都市空間管理といった高度な課題に向けたU-space構想の実証実験も進行中です。

 

とっくり

民間企業の国際提携も盛んで、スタートアップが欧州横断的にプロジェクトを展開する動きが強まっています

日本とのドローン技術・文化における交流と協力

イタリアと日本のドローン分野における関係は、文化・技術の両面でゆるやかに拡大しています。

  • 日本のドローン企業がイタリアの展示会に参加し、技術比較や販路開拓を実施
  • イタリアのスタートアップが日本市場でのデモ飛行・安全評価を受けるケースもある
  • 両国の大学間で、観光・文化財分野における空撮プロジェクトや共同研究が進行中
  • 商工会議所やJETROの枠組みを通じ、スタートアップ支援や技術交流イベントが開催されている

こうした柔軟な協力関係は、今後の制度連携や共同イノベーションの布石になる可能性を秘めています。

イタリアが目指すドローンの未来とは?

未来を見つめるイタリア人カップルの画像

イタリアは、ドローン技術の制度整備や分野横断的な活用において、すでにヨーロッパでも重要な位置を占めつつあり、今後は以下のような進化した展開が期待されます。

  • スマートシティ構想と連動したドローンポートの設置・実証
  • ドローンタクシーに向けた軽量機体と離着陸インフラの共同開発
  • 教育分野でのデジタル技能としてのドローン操縦者育成
  • 持続可能な農業・環境監視との連携による「エコ空撮」分野の台頭

 

とっくり

さらに、国際的にも日本を含むアジアとの技術・制度協力が拡大すれば、イタリアは「ドローン先進国」としてのプレゼンスをより高めていくことでしょう


参考URL

  1. ENAC – Ente Nazionale per l’Aviazione Civile
  2. EASA – European Union Aviation Safety Agenc
  3. FlyingBasket
  4. ABZero
  5. Horizon Europe – Research and Innovation Funding Programme

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