【初学者必見】ドローン飛行における第三者とは?人・物件リスク判断基準を徹底解説!

ドローン 第三者のサムネ

土地の所有者がOKと言ってくれたから大丈夫だろう
人がいないタイミングでサッと飛ばせば問題ない

ドローン飛行における第三者の定義について、上記のように考えている方は多いのではないでしょうか。

実際のところ、第三者は皆さんが想像するよりも遥かに厳格で複雑です。

今回は、ドローン飛行においての第三者の本当の意味、回避すべきリスク、そして国家資格(技能証明)がなぜ重要なのかを丁寧に解説します。

※本記事は、2025年11月時点の情報を参考に作成しています。


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目次

ドローン飛行で第三者上空がNGな理由

ドローンを安全に飛行させる上で、厳しく規制されているのが第三者上空によるドローン飛行です。

第三者の上空でドローン飛行を行った場合、重大な罰則が科せられる可能性があるため、絶対に避けるべき行為と言えるでしょう。

なぜ上空を飛ばすと危険なのか?

もしドローンが予期せぬトラブル(機体故障、バッテリー切れ、操作ミスなど)に見舞われ、飛行中に落下したらどうなるでしょうか。

仮に第三者がいた場合、重大な人身事故につながる可能性が極めて高くなります。

航空法では、人身事故によるリスクの回避を最優先事項としており、原則として第三者の上空の飛行を禁止しています。

 

とっくり

安全なドローン運用とは、「第三者上空飛行の原則禁止」の厳守から始まります

第三者上空はカテゴリーⅢの領域

ドローンの飛行は、リスクの高さに応じてカテゴリーⅠからカテゴリーⅢの3つに分類されており、第三者の上空を飛行する行為は、最もリスクが高いカテゴリーⅢ飛行に該当します。

あなたの飛行はどのカテゴリー?第三者上空はカテゴリーⅢの領域の画像
国土交通省

まずは、自身の飛行がどのリスクに分類されるのか、以下のテーブルで確認してみましょう。

 

カテゴリー飛行リスクの度合い立入管理措置の要否第三者上空飛行の可否
カテゴリーⅠ特定飛行に該当しない飛行不要可能(特定飛行ではない)
カテゴリーⅡ特定飛行(DID、夜間、目視外など)必須不可能(第三者上空を飛行しない)
カテゴリーⅢ特定飛行
(第三者の上空で特定飛行を行う)
不要(事実上立入管理しない)可能(ただし厳格な許可が必須)
とっくり

カテゴリーⅡでは立入管理によって第三者を排除しますが、カテゴリーⅢでは一等資格と第一種認証の取得が求められます

カテゴリーⅡ(立入管理あり)とカテゴリーⅢ(立入管理なし)の決定的な違い

カテゴリーⅡとカテゴリーⅢの大きな違いは、第三者の上空を飛ぶかどうかです。

  • カテゴリーⅡ飛行
    -無人航空機の飛行経路で立入管理措置を講じたうえで行う特定飛行
    -第三者が立ち入らないように対策を取っているため、第三者上空の飛行はできない
  •  

  • カテゴリーⅢ飛行
    -立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行
    -第三者の上空を飛行する前提となるため、最も厳格な要件(一等技能証明、第一種機体認証など)が求められる

勘違いが多い!航空法が定めるドローン飛行における第三者の定義

ドローンを操縦する多くの方が誤解しているのは、飛行場所の所有者や関係者が同意してくれれば、その人たちは第三者ではなくなることです。

これは誤りであり、航空法でいう第三者とは、「無人航空機の飛行に直接的にも間接的にも関与していない者」を指します。

飛行に直接的・間接的に関与しない者は、同意を得たとしても、依然として第三者に該当するのが原則です。

第三者ではない関係者の2つのグループ

第三者ではない関係者の2つのグループの画像

 

ドローンの飛行に関わる人たち、つまり「第三者ではない人」は、以下の2つのグループに分けられます。

グループ①:ドローンの安全を担う直接関与者(操縦者や補助者など)

直接関与者とは、無人航空機の飛行の安全確保に直接必要な要員を指します。

  • 操縦者(Remote Pilot)
  • 現に操縦はしていないが操縦する可能性のある者
  • 補助者(Visual Observer / 監視員)

 

とっくり

上記の人たちは、ドローンが墜落した場合のリスクを認識し、適切な安全措置を講じる役割を担っているため、第三者には含まれません

グループ②:安全指示と同意が必要な間接関与者(俳優やスタッフなど)

間接関与者とは、空撮や業務の目的を操縦者と共有し、飛行に間接的に関与していると認められる者です。

以下のすべての条件を一つでも満たさない場合は第三者となります。

 【例:映画の撮影における第三者の扱い】

間接関与者の5つの必須条件解説
飛行目的について共通の認識を持つ今何のためにドローンが飛んでいるかを明確に認識していること。
操縦者が飛行目的の達成に必要と判断している空撮映像の出演など、飛行の目的に関与していると操縦者が判断している。
計画外の挙動時に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている危険時の行動や注意点(例:落下した機体に触れない)
事前に伝えられている。
操縦者が指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認している指示内容を一方的に伝えるだけでなく、
理解していることを確認して守る意思があること。
飛行目的への関与を自ら決定できる(任意であること)参加が強制ではなく、NOと言える環境にあること。

映画の空撮における俳優やスタッフが典型例ですが、単なる口頭の同意では不十分です。

事前のコミュニケーションと理解確認が厳格に求められるため、非常に高度な管理が必要になります。

 

判断が難しい第三者の例
  • 通行人:無関係なため、第三者です。
  • イベントの観客:ドローンの飛行が主ではないイベントのために集まった観客は、一般的に関与しない者として「第三者」とされます。
  • 企業の社長:飛行に直接・間接的に関与していない限り、その企業の社長であっても、安全確保の観点からは第三者として扱われます。

人と物が混在!ドローン飛行における第三者と物件のリスク別区別術

ドローンが落下した場合のリスク評価は、人と物(物件)で大きく異なり重大な人身事故を回避するための安全対策を講じる上で、非常に重要です。

例えば、走行中の車両そのものは物件ですが、搭乗者・運転者は第三者として扱われます。

  • リスクの種類:ドローンが走行中の車両に落下・接触した場合、車両の破損だけでなく、搭乗者への直接的な怪我や交通事故といった極めて高いリスクが伴う。
  • 安全対策:特に公道を走行している車両の上空を飛行する場合、厳格な安全対策が求められる。

 

とっくり

人に接触すれば重大な人身事故につながる可能性が高いため、人が乗っている車両は第三者として扱うのが安全飛行の鉄則です

自宅の敷地内でも注意!「家の中の人」と「庭にいる人」の大きな違い

同じ土地の所有者であっても、いる場所によってリスク評価が変わるドローン飛行ならではの区別があります。

  • 家の中にいる人
    - 家は「物件」です。
    -ドローンが落下した場合、被害を受ける可能性が高いのは建物(物件)であり、人への危険は二次的と評価されます。
    -「物件」との安全な距離の確保が主な焦点となります。
  •  

  • 家の庭にいる人
    -屋外にいるため、ドローンが落下した場合に直接的な被害を受ける可能性が極めて高いです。
    -ドローンの飛行に関わっていない第三者として扱われます。

ドローン落下想定範囲は第三者上空扱い

第三者上空とは、第三者の真上だけを指すわけではありません。

航空法の解釈では、ドローンが墜落した際に落下する可能性のある範囲(落下距離)に第三者がいる場合、ドローンは「第三者上空を飛行している」と見なされます。
 

ドローン落下想定範囲は第三者上空扱いの画像

飛行計画を立てる際は、線的経路(ルートを線で表す)や面的経路(飛行範囲を面で表す)のいずれにおいても、落下距離を含めた飛行経路下を計算し、範囲内に第三者がいないことの確認が絶対条件です。

 

とっくり

飛行経路下とは、「飛行経路直下」+「落下距離」の範囲を指します

ドローン飛行における第三者上空を回避するための具体的な安全対策

第三者上空を飛行しないカテゴリーⅡ飛行(DID、夜間、30m未満の飛行など)を行う場合でも、第三者との接触事故を回避するための立入管理措置が必須となります。

立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下で第三者の立入りを制限する措置のことです。

航空法は、立入管理措置として主に以下の3つのケースを想定しています。

  • 補助者を配置し、注意喚起を行い、第三者への衝突回避策が講じられている場合
  • 立入管理区画(第三者の立ち入りを管理する区画)が設定されている場合
  • 立入禁止区画(第三者の立ち入りを禁止する区画)が設定されている場合

 

とっくり

一般的なのは補助者による監視・注意喚起ですが、ロープやコーンを使った立入管理区画の設定により、補助者の配置を代用できる場合もあります

「人または物件と30m未満の飛行」は立入管理でクリアできる!

人や建物から30m以上の距離を確保できない飛行は特定飛行に該当し、立入管理措置を講じることで、飛行が可能になります。

国土交通省の航空局標準マニュアルには、プロペラガード装備または補助者の配置(立入管理で代用可)のいずれかが必要と記載されています。

「人または物件と30m未満の飛行」の画像
国土交通省

また、飛行経路下に第三者が進入した場合は、ただちに飛行を中止するなどの適切な安全措置を取らなければなりません。

 

とっくり

航空法第132条の87に基づく、飛行停止や飛行経路変更の義務です

プロペラガードを付けても第三者上空はNG!

プロペラガードは、ドローンが接触した際の被害を軽減する効果はありますが、墜落や制御不能時のリスクまでは防げません。

プロペラガードは「人または物件と30m未満の飛行」の際の安全対策の一つとして有効ですが、第三者上空を飛行する許可にはならないのです。

とっくり

プロペラガードを装着したとしても、第三者上空を飛行できるわけではないことに留意しましょう

国家資格の真価:ドローン飛行の第三者リスクを管理し、ビジネスを効率化する道

第三者の厳格な定義とルールの理解は、ドローンビジネスにおいて不可欠です。

ドローンビジネスを考えている方は、理解度と安全性を証明する国家資格の取得が推奨されます。

目視外飛行(レベル3.5)の実現に必要な国家資格と機体認証

レベル3.5飛行は、第三者が立ち入らないカテゴリーⅡ飛行の範疇ですが、直接関与者である補助者の配置を省略できる点が画期的です。

つまり、国家資格によって「第三者との接触リスクを回避し、安全を確保できる能力」が国によって証明されていることを意味します。

レベル3.5飛行を、カテゴリーⅡB飛行として行うためには、以下の条件を満たすことが必要不可欠です。

 

レベル3.5飛行を行う条件
  • 無人航空機操縦士の技能証明(国家資格)を保有していること
  • 機体認証を受けた無人航空機を飛行させること
  • 飛行マニュアルの作成・遵守などの安全確保措置を講じること

 

とっくり

資格と機体認証が揃うことで、国が認める安全確保体制が整い、飛行が大幅に簡素化されます

二等・一等資格取得で得られる安全確保の証明

二等・一等資格取得で得られる安全確保の証明の画像
国土交通省

国家資格を取得するメリットは、上記のような第三者とのトラブルや事故を回避するための、体系化された正しい知識と技能を証明できる点にあります。

 

資格の種類飛行できる範囲(リスク)資格の持つ意味と対応飛行
二等無人航空機操縦士カテゴリーⅡ飛行(立入管理措置ありの特定飛行)目視外飛行を含む特定飛行を安全に行える、
プロの基本的な証明。。
一等無人航空機操縦士カテゴリーⅢ飛行(第三者上空の特定飛行)最高難度の飛行(レベル4)を許される、
ドローン運用のエキスパートの証明。
とっくり

資格取得は、多くの人が誤解する第三者の定義や立入管理の正しい解釈を学び、法令違反のリスクを回避する最強の盾となるでしょう

レベル3.5に挑むなら!専門家(行政書士)との連携も視野に入れるべき理由

レベル3.5飛行は複雑な運用を行うため、ドローン関連の法律に通じている行政書士との連携を視野に入れてもいいでしょう。

 

とっくり

資格取得によって得た知識を土台に、専門家との協力で、複雑な規制の壁を確実に突破が可能です

ドローン飛行の第三者に関する疑問を解消!

ドローン飛行の第三者に関する疑問を解消!の画像

Q1: 飛行経路の下にある私有地の所有者から許可を得れば、真上を飛んでもいいですか?

A, 原則として飛べません

飛行場所の所有者や関係者が同意したとしても、飛行に直接的・間接的に関与していない限り、彼らは航空法上の第三者に該当するのが原則です。

したがって、第三者が立ち入る可能性のある私有地のドローン飛行は、立入管理措置を講じない限り禁止されています。

 

とっくり

飛行する場合は、所有者・関係者に対しても第三者として扱い、真上を避ける必要があります

Q2: 映画やCMの撮影で、役者さんやスタッフの上空を飛ばすことは可能ですか?

A, 可能です

ただし、役者さんやスタッフを第三者ではない人として扱うためには、間接関与者の定義をすべて満たす必要があります

具体的には、事前にドローンの飛行目的を共有し、危険時の明確な指示と安全上の注意を与え、理解していることを確認するなど、厳格な手順を踏むことが必須となります。

 

とっくり

単に口頭で同意を得ただけでは、彼らは第三者と見なされてしまうでしょう

Q3: 立入管理措置として、補助者を配置すれば第三者上空を飛ばせるようになりますか?

A, いいえ、なりません

補助者の配置を含む立入管理措置は、第三者が飛行経路下に入らないようにするための措置であり、第三者上空を飛行するための許可を得る方法ではありません。

一等資格第一種機体認証を得た上で、国から個別の許可・承認を受けることが必須となります。

 

とっくり

第三者上空を飛行する行為は、リスクの高いカテゴリーⅢ飛行に該当します

Q4: ドローンが落下する可能性がある落下距離は、誰が計算するのですか?

A, 落下距離は、製造者(研究機関)などが保証した落下距離、または飛行計画を立てる事業者側が、水平投射の公式に反応時間や風速などを加えて、安全に配慮した落下想定範囲の設定が推奨されています。

 

とっくり

落下想定範囲の設定とリスク評価の能力も、プロの事業者として求められる重要なスキルの一つです

Q5: ドローンを飛ばす際に、道路を横断する場合は第三者上空になりますか?

A, 道路を横断する場合、道路に人や車両(運転者を含む)が通行している可能性が極めて高いため、第三者の上空を飛行するリスクが非常に高いと考えられます。

公道の上空を飛行する際は、人や車両(第三者)との間に十分な水平距離を確保するか、道路使用許可と合わせた厳格な立入管理措置(交通を一時的に遮断するなど)を講じる必要があります。

 

とっくり

人が運転する車両は、第三者として扱われるべきです

まとめ

ドローン飛行における第三者の定義は、単なる土地の所有権や同意を超えた、人身事故のリスクを回避するための厳格なルールに基づいています。

所有者や関係者の許可があっても、彼らが飛行に直接的・間接的に関与していなければ第三者として扱う必要があり、第三者が立ち入らないようにするための立入管理措置を講じる義務は、カテゴリーⅡ飛行において必須です。

複雑なルールを曖昧にしたまま飛行を続ければ、知らず知らずのうちに法令違反を犯し、重大な事故と罰則につながりかねません。

ドローン飛行を安全に、そしてスケールアップさせていくためには、体系化された正確な法知識と技術が不可欠といえるでしょう。

 

ドローン飛行における第三者の要点
  • 所有者の同意≠第三者ではない:飛行場所の所有者や関係者でも、飛行に直接的・間接的に関与しなければ第三者となります。
  • 第三者上空は原則禁止:第三者上空の飛行は、リスクの高いカテゴリーⅢ飛行(一等資格が必要)の領域です。
  • 落下距離までが禁止範囲:第三者の真上だけでなく、ドローンが墜落した際に落下する可能性のある範囲(落下想定範囲)までが禁止区域と見なされます。
  • 関与者は厳格な5条件:撮影スタッフなどを間接関与者として第三者から除外するためには、飛行目的の共有や安全指示の確認など、5つの厳格な条件をすべて満たす必要があります。
  • 資格はルールの証明:国家資格は、第三者回避のための正しい知識と立入管理措置の運用能力を国が証明するものであり、安全運航の必須要素です。

▼参考URL

国土交通省:無人航空機の飛行許可・承認手続
国土交通省:無人航空機の目視外及び第三者上空等の飛行に関する検討会
無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会 とりまとめ
無人航空機に係る規制の運用における解釈について
航空局標準マニュアル


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