「なぜ光の量を減らす必要があるの?」
「種類がたくさんあるけど、どれを選べばいい?」
ドローン空撮において、日中の撮影で空が真っ白になったり、映像がカクカクして滑らかさに欠けたりしていませんか?
今回は、ドローン撮影のクオリティを劇的に引き上げるNDフィルターの必要性や初心者でも迷わない賢い選び方、明日からすぐに実践できる簡単な使い方まで丁寧に解説します。
※本記事は、2025年11月時点の情報を参考に作成しています。
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ドローン用NDフィルターはレンズのサングラス

NDフィルターの「ND」とは「Neutral Density(ニュートラル・デンシティ)」の略で、色味(カラーバランス)に影響を与えることなく、レンズに入ってくる光の量だけを均一に減らす特性を持つフィルターです。
私たちが眩しい太陽の下でサングラスをかけると、視界の色はほとんど変わらずに、眩しさだけが軽減されます。
NDフィルターもまったく同じ原理で、明るい屋外でも光の量を意図的にコントロールし、適正な明るさで撮影できるようにサポートしてくれるのです。
ドローン撮影にNDフィルターが必須と言われる3つの理由
NDフィルターが必須とされる主な理由を3つに分けて解説します。
理由①:映像を滑らかにするモーションブラーを正しく作るため
ドローン撮影でNDフィルターを使う主な目的が、モーションブラーを適切に作り出すためです。
モーションブラーとは、動いている被写体がブレて見える現象であり、人間の目も素早く動くものを見たときには自然なブレを認識しています。
NDフィルターを使わずに日中撮影すると、光が多すぎるため、カメラは自動的にシャッター速度を極端に速く設定します(例: 1/2000秒など)。
すると、映像はブレのない静止画の連続のようになり、結果としてカクカクとした不自然な動きに見えてしまうのです。
NDフィルターで光量を減らし、シャッター速度を適切に遅くした場合、人間の目が見ているような自然なモーションブラーが生まれ、非常に滑らかな映像に仕上がります
理由②:日中の白飛びを防ぎ、適正な明るさ(露出)で撮影するため
ドローンのカメラも、スマートフォンや一眼カメラと同様に、一度に処理できる光の量には限界があります。
特に晴天の昼間など、光が非常に強い環境下ではカメラが光を取り込みすぎてしまい、空や雲、建物の明るい部分が真っ白になって細部の情報が失われる白飛びが発生しやすくなります。
NDフィルターは、レンズに入る光そのものを減らすため、白飛びを根本的に防ぐことができます
空の青さや雲の立体感をしっかりと残したまま、全体の明るさを適正(適正露出)に保つことが可能です
理由③:滝や波を絹のように表現するスローシャッター撮影を可能にするため
写真撮影のテクニックにおいて、シャッター速度を数秒単位で意図的に遅くするスローシャッター(長時間露光)があります。

NDフィルターなしでは日中にスローシャッターを切ると、光を取り込みすぎて写真全体が真っ白になりますが、濃いNDフィルターを使った場合、日中でもシャッターを長時間開けることが可能です。
- 滝や川の流れを、まるで絹の糸のように滑らかに写す
- 海の波を、霧のように幻想的に描写する
- 街中の人や車の動きを軌跡として残す
NDフィルターはドローンによる芸術的な写真表現にも欠かせないアイテムです
映像制作の基本ルール!シャッター速度とフレームレートの関係性
NDフィルターの必要性を理解する上で欠かせないのが、映像制作における基本的なルールとされるシャッター速度とフレームレートの関係です。
滑らかな映像(適切なモーションブラー)を得るためには、シャッター速度を遅く保つ必要があります。
映像業界には180度のシャッタールールと呼ばれる経験則があり、シャッター速度をフレームレートの数値の2倍(の逆数)に設定します。
理想のシャッター速度はフレームレートの2倍
フレームレート(fps)とは、1秒間に何枚の静止画を記録するかを示す数値です。
例えば「30fps」なら1秒間に30枚の静止画で構成された映像になります。
このフレームレートに対し、シャッター速度を「1 / (フレームレート × 2)」に設定すると、自然なモーションブラーが得られるとされています。
▼ フレームレート別・理想のシャッター速度(目安)
| フレームレート(fps) | 理想のシャッター速度 |
|---|---|
| 24 fps | 1/48秒 (または最も近い 1/50秒) |
| 30 fps | 1/60秒 |
| 60 fps | 1/120秒 |
| 120 fps | 1/240秒 |
シャッター速度とフレームレートの関係性を覚えておくことが、NDフィルターを使いこなす第一歩です
【初心者必見】ドローン用NDフィルターの賢い選び方
NDフィルターには様々な種類がありますが、ポイントを押さえれば選ぶのは難しくありません。
自身のドローンと撮影スタイルに合ったものを選びましょう。
選び方①:濃さ(数値)で選ぶ。「ND4, 8, 16, 32」の違いとは?
NDフィルターには「ND4」「ND8」「ND16」といった数値が記載されています。
数値が大きいほどフィルターの色が濃くなり、光を減らす効果(減光効果)が高くなります。
- ND4:光量を 1/4 に減光
- ND8:光量を 1/8 に減光
- ND16:光量を 1/16 に減光
- ND32::光量を 1/32 に減光
多くのドローン用フィルターはセット販売されており、「ND4〜32」の基本セットがあれば、多くのシーンに対応できるでしょう
選び方②:天候やシーン別の目安(晴天、曇り、夕方など)
どんな濃さのフィルターを使えばよいかは、現場の明るさによって決まります。
- ND4:曇りの日、日陰、朝方や夕方など、やや光が弱い時
- ND8:薄曇り、または晴れた日の日陰
- ND16:晴天の昼間。使用頻度が高いフィルターの一つ
- ND32:雲ひとつない快晴、夏の強い日差し、雪景色など
- ND64以上:日中のスローシャッター撮影や、特に光が強い環境
最初は撮影設定(シャッター速度1/60秒など)を固定した上で、ND4から順に試してみて、映像が適正な明るさになるものを探すのが確実です。
慣れてくれば、天候を見ただけですぐに判断できるようになります
選び方③:ドローンの「絞り(F値)」機能の有無で選ぶ
使用するドローンに絞り(F値)を調整する機能があるかどうかも、フィルター選びのポイントです。
▼ 絞り機能の有無による特徴とフィルター選びの違い
| 項目 | 絞り機能な の機種 | 絞り機能ありの機種 |
|---|---|---|
| 代表機種 | ・DJI Mini 4 Pro ・DJI Air 3 など | ・DJI Mavic 3 Pro ・DJI Mavic 3 Classic など |
| 光量調整の方法 | NDフィルターでの調整がほぼすべて | NDフィルター + 絞り(F値)で二重に調整可能 |
| NDの重要性 | 非常に高い(光量調整をNDに頼るため) | 高い(絞りと併用で表現の幅が広がる) |
| 推奨フィルター | 夏の昼間など強い光に対応するため、 濃いND(ND64など)が含まれるセットが推奨されます。 | 基本のNDセット(ND4~32やND8~64)と絞り機能で、 多くのシーンをカバーできます。 |
【応用編】PL(CPL)フィルターとの違いは?水面の反射を抑えたいなら
NDフィルターとよく似たものにPLフィルター(CPLフィルター)があります。
偏光フィルターとも呼ばれ、それぞれ役割が異なります。
- NDフィルター:光の「量」を減らす(サングラス)
- PLフィルター:光の「反射」を除去する(偏光サングラス)
PLフィルターは、水面やガラス、建物の壁、葉の表面などの不要な反射光を取り除き、被写体本来の色彩をより鮮やかに、濃く写す効果があります。

風景撮影がメインの場合、両方の効果を兼ね備えた「ND/PLフィルター」もおすすめです
簡単3ステップ!ドローン用NDフィルターの基本的な使い方
NDフィルターの使い方は、一度覚えてしまえば非常に簡単です。
ステップ1:撮影設定(フレームレート)を決める
まず、ドローンのカメラ設定を「マニュアル(Proモード)」にします。
次に、撮影したい映像のフレームレート(例: 30fps)を決めます。
ステップ2:シャッター速度をフレームレートの2倍に固定する
ステップ1で決めたフレームレートに基づき、シャッター速度を「1 /(フレームレート × 2)」に固定します。
- 30fpsで撮るなら →シャッター速度を「1/60秒」に固定
- 60fpsで撮るなら →シャッター速度を「1/120秒」に固定
現時点では、NDフィルターはまだ装着しないため、モニターの映像は真っ白になっているはずです
ステップ3:適正な明るさになるまでNDフィルターを付け替える
シャッター速度を固定したまま、ND4、ND8、ND16……と、持っているNDフィルターを順番に装着していきます。
モニターの映像を確認し、白飛びや黒潰れがなく、全体がちょうど良い明るさ(適正露出)になるフィルターを選びます。
天候や時間帯が変わって明るさが変化した場合も、シャッター速度は固定したまま、NDフィルターの濃さだけを変更して対応しましょう。
上記の3ステップが基本です
【機種別】おすすめNDフィルターセット(DJI公式・サードパーティ製)
NDフィルターは、他機種との互換性がないため、必ず所有するドローンの機種専用のものを購入する必要があります。
ここでは、代表的なDJIドローンのフィルターセットを紹介します。
DJI Mini シリーズ(Mini 4 Pro / Mini 3 Pro など)

軽量なMiniシリーズは絞り機能がないため、NDフィルターの重要性が高いです。
| 機種名 | 推奨フィルター(例) | 特徴 |
|---|---|---|
| DJI Mini 4 Pro | NDフィルターセット(ND16/64/256) | ・絞り機能なし ・F値が固定で明るいため、NDの重要性が非常に高い。 ・日中のスローシャッター撮影まで見据え、濃いフィルター(ND256など)が含まれるセットが推奨されます。 |
| DJI Mini 3 Pro | NDフィルターセット(ND16/64/256) |
日中のスローシャッター撮影まで見据え、濃いフィルター(ND256など)が含まれているのが特徴です
DJI Air シリーズ(Air 3 / Air 2S など)

irシリーズも絞り機能がありません(Air 2Sは除く)。
| 機種名 | 推奨フィルター(例) | 特徴 |
|---|---|---|
| DJI Air 3 | NDフィルターセット(ND8/16/32/64) | ・絞り機能なし ・日中の撮影ではNDフィルターが必須です。 ・多くのシーンに対応できます。 |
- 特徴:F値がF2.8固定と非常に明るいレンズを搭載しています。
- 純正フィルターの状況:後継機の登場に伴い、DJI純正のNDフィルターセット(特に濃度の高いND64/128/256/512セット)は生産完了となっており、新品での入手は非常に困難です。
- 代替案:基本的なセット(ND4/8/16/32)も在庫限りとなっているため、これからAir 2S用のフィルターを購入する場合は、PGYTECHやFreewellなどが販売しているサードパーティ製の高品質なフィルターセット(ND/PLフィルターセットを含む)を検討するのが現実的です。
DJI Mavic シリーズ(Mavic 3 Pro / Classic など)

絞り機能(可変絞り)を搭載したフラッグシップモデルです。
| 機種名 | 推奨フィルター(例) | 特徴 |
|---|---|---|
| DJI Mavic 3 Pro | NDフィルターセット(ND8/16/32/64) | ・絞り(F値)調整機能あり ・F2.8〜F11のように絞りを調整できるため、 光量コントロールの自由度が高い。 ・基本のセットと絞り機能の併用で、 多くのシーンに対応可能です。 |
| DJI Mavic 3 Classic | NDフィルターセット(ND8/16/32/64) |
絞りとの併用で露出を細かく調整できるため、基本のセットで十分対応可能です
純正品とサードパーティ製品の違いは?
DJI公式の純正フィルター以外にも、PGYTECHやK&F Concept、Freewellなど多くのサードパーティ(他社)から専用フィルターが販売されています。
| 製品タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 純正品 | ・完璧なフィット感と画質 ・機体とのマッチングが保証されている安心感 | ・価格が比較的高価 ・ND/PLフィルターのラインナップがない場合がある |
| サードパーティ製品 | ・価格が手頃 ・ND/PLフィルターのラインナップが豊富 | ・製品によっては、画質やコーティングの質、装着感に差がある可能性も |
風景撮影で水面の反射などを抑えたい場合は、サードパーティ製のND/PLフィルターを選ぶのも非常に賢い選択です
ドローン用NDフィルターに関するよくある質問(Q&A)

Q. フィルターは付けっぱなしでも大丈夫?
A. おすすめしません。
NDフィルターは光を減らすためのものであり、曇りの日や夕方、室内など、光量が少ない場所で装着したままだと、映像が暗くなりすぎます。
暗い場所ではシャッター速度を遅くしても光量が足りず、ISO感度を無理に上げてノイズだらけの映像になる原因にもなります。
十分な明るさがある日中の屋外でのみ使用し、暗くなったら外すようにしましょう
Q. 可変NDフィルターのメリット・デメリットは?
A. 1枚で濃さを調整できるのがメリットですが、画質面でデメリットが生じる場合もあります。
可変NDフィルター(VND)は、フィルター枠を回転させることでND2〜ND400のように濃さを無段階で調整できる便利なフィルターです。
付け替える手間が省けるのがメリットですが、構造上、広角レンズで使うと画面にムラ(X状のムラ)が出たり、画質がわずかに低下したりする可能性があります。
利便性を取るか、画質を優先するかで選びましょう
Q. フィルターを付けても明るすぎる(暗すぎる)時はどうする?
A. まずはフィルターの濃さを変えて対応します。
- 明るすぎる場合:より濃い(数値の大きい)NDフィルターに交換します。(例: ND16 → ND32)
- 暗すぎる場合:より薄い(数値の小さい)NDフィルターに交換します。(例: ND16 → ND8)
それでも調整しきれない場合や、絞り機能(F値)がある機種の場合は、絞りを開けたり絞ったりして微調整しましょう。
最終手段としてISO感度も使いますが、上げすぎるとノイズの原因になるため、可能な限り最低感度(ISO100など)に設定しておくのが理想です
NDフィルターを使いこなし、ドローン映像のクオリティを劇的に向上させよう
NDフィルターは、日中の明るい場所でもシャッター速度を適切にコントロールし、映像を滑らかにするために欠かせないアイテムです。
最初は天候に合わせた濃さの選択に戸惑うかもしれませんが、基本の使い方を実践すれば、誰でもプロのような映像表現が可能になります。
ぜひNDフィルターを活用し、空撮のクオリティを次のレベルへ引き上げましょう。
- NDフィルターはレンズのサングラスの役割を果たし、色味を変えずに光の量だけを減らします。
- 主な目的は、シャッター速度を意図的に遅くし、自然なモーションブラー(ブレ)を生み出すことです。
- 理想のシャッター速度は「フレームレートの数値の2倍(の逆数)」(例: 30fpsなら1/60秒)が目安です。
- フィルターの数値(ND4, 8, 16...)が大きくなるほど色が濃くなり、光を減らす効果が高くなります。
- 基本的な使い方は、シャッター速度を固定し、適正な明るさになる濃さのフィルターを装着します。
▼参考URL
・株式会社ケンコー・トキナー
・サツラボ
・DRONE LEAP
・UAVOOM
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